シリアで化学兵器が「容認」されつつある実態


米国やロシアなどによる介入で複雑化するシリア内戦で、再び化学兵器使用疑惑が浮上した。非難の矛先はアサド政権に向けられている。長期化する内戦での化学兵器の使用はすでに数十回に上る。その多くがアサド政権による仕業とされるが、タブーとも言える化学兵器の投下はもはや常態化している。

それはなぜなのか。ロシアを後ろ盾とするアサド大統領は、欧米とロシアの対立で国連安保理が機能不全状態なのを見透かしているためだ。ダマスカス近郊の反体制派支配地域・東グータ地区で事件が起きたのは今月7日。ほぼ1年前には、米トランプ政権がアサド政権による化学兵器使用を断定し、シリアに巡航ミサイル「トマホーク」59発を撃ち込んだ。

米国が突然エルサレムを首都に認定する事情


ドナルド・トランプ米大統領が、選挙公約を実現させる形でエルサレムをイスラエルの首都と認め、商都テルアビブにある米大使館の移転を指示した。

米政権の歴史的な転換は、中東和平の最大の争点であるエルサレム帰属問題で、「東西不可分の首都」とするイスラエル側の肩を一方的に持つものだ。パレスチナやアラブ諸国からは批判の声が上がっており、中東和平の仲介役としての米国の信頼は揺らいでいる。

日本人が知らないサウジ王族の「超金満生活」


世界最大級の産油国サウジアラビアが王族の汚職疑惑に揺れている。不可侵とされてきた王族らが汚職疑惑で拘束されているのだ。サルマン・ビン・アブドルアジーズ国王の子息ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が率いる汚職対策委員会が4日、国王令で突如として創設され、王子11人、閣僚や元閣僚、資産家ら数十人が拘束された。凍結されたサウジ国内の銀行口座はすでに1700を超え、最終的に数百人が摘発される見通しとなっている。

王族の汚職は批判を集め、王子らの散財は国家財政の重荷になっており、国民はおおむね歓迎している。ただ、サウジ王族は約2万人にも上るといわれ、汚職の基準はあいまいで王族の散財は長年の慣行だ。

そこに突然振るわれた「大ナタ」は、ムハンマド皇太子が進める石油依存からの脱却を目指す経済改革に資するものだが、恣意的な政敵の排除に使われているとの指摘もある。次期国王の最有力候補である皇太子の独裁化や王族内部の不和を懸念する声も上がっている。

まだある!サウジで女性が「できないこと」


「みんな祝賀ムードに沸いているわ。社会はエネルギーに満ちあふれ、将来への希望を抱いている。国は前向きな政策を進めており、国民は変化を感じ取って称賛している」

女性の自動車運転が禁じられている世界で唯一の国であるサウジアラビア。来年6月の運転解禁の国王決定を受け、知人のサウジ人女性はこんなコメントを寄せた。ツイッター上でも歓迎のコメントが相次いで投稿されている。

だが、実のところ、サウジではまだまだ制限・禁止されている女性の活動が少なくない。自動車運転解禁に沸くものの、女性は自転車にすら自由に乗ることができないという現実に直面している。それでも、サウジは変革の真っ只中にある。現代化と宗教的・伝統的な価値観の狭間でせめぎ合うサウジは、今後も変化を続けそうだ。

サウジが「女性の運転解禁」に踏み切った事情


女性の自動車運転が禁じられている世界で唯一の国であるサウジアラビアで、来年6月に運転が解禁されることになった。サウジでは現在、100万人以上の女性が毎日、職場への行き帰りのために運転手を雇用したり、タクシーを利用したりするのを強いられており、労働生産性に悪影響を与えているとの意見が上がっていただけに、今回の決定に国は祝賀ムードに沸いている。

ツイッター上では、「サウジで運転できるようになるなんて信じられない」とか、「サルマン国王のすばらしい決定」などと歓迎するツイートがアップされている。2011年に運転する動画を投稿して逮捕された経験を持つマナル・シャリフさんは、ツイッター上で、「もうサウジは前のサウジには戻らない」と、国王の決定を歓迎するとともに、伝統衣装を着た女性がハンドルを握るイラストを投稿した。